★艶情小説★〘 猿と呼ばれた男・・45 〙

 十一月十日午前十時、山本の家に岩田家と地元の連合会の役員が揃う会合が行われてる。
無論上本町のビルの売買契約の先に、会合を持たれ双方の確認をされて居たのだ。
 其処は既に根回しが行届き、ビル所有者十五名の委任状が揃い、立会人は地元の司法書士
が居られた。
「ではこれで、円満解決歳、岩田の川上様に全て譲渡とします」
と言われ、参加者総てが立ち上がり拍手され契約となった。
無論岩田の家は佳恵さんと美樹さんが居られた。
 午後一時には東大阪の銀行の支店で金が相手側に支払われて成立、
役所に書類を提出し完了となる。
 大役を行う賢二さんと、ビル所有だった山本の集合役員が握手して喜ばれている。
 その報告は、直ぐに慎吾は電話で聞いて、心方喜んだ。
何もかも、岩田の家が今回も力を貸して頂いたのだ。
知らせを聞いた後、事務所では待って居た四人が歓声を上げて、引越し出来ると喜び合う。
 (フ~~何とこれだけ早くスム-スに運べたのは小田家の御陰・・)
と感謝する慎吾、無論岩田の家が腰上げないと成せぬ事、何処をとっても恩がまた出来た
家でも有り、金額は締めて六十四億とでかい金が動いたのだ。
一人の若造が仕組み奔走してのことは、関係者は総て御存知の事、特に話を聞いてたが、
事実目の前で取引されるのを見る、美樹さんが一番興奮されている。
 慎吾の車で岩田に戻る親子、其のまま家で椅子に座られ安堵される。
慎吾が佳恵さんに縋着いて、何度も感謝の気持ちを告げる中、家の中で美樹は人知れずに、
胸を撫でて良かったと何度思えた事か・・、此れで何とか慎吾に又家で会えると思うのか、
息を大きく吸うて、コ-ヒ-を立てに向かわれる。
 その日は遅くまで家の灯りは消えない中、久し振りに佳恵は慎吾との話に夢中だった。
「往々、其れで山本の家も一安心じゃね。じゃあの綺麗な美沙子さんが出家に嫁入りかね」
「うん、そう為る様には仕向けたけどな、僕の話を聞いて、従うといんさり驚いてる・・」
「ええ~なんで驚くんや良い事やろう、此れで悩みが一つ無くなるだろうが、お前の心内は
読めるがのう、迎える家の賢三さんは如何思われるかじゃが・・、其処は如何や・・」
「其処な本家は手放しでな喜びんさるが、肝心の賢三さんの思いが気に為ってな・・」
「じゃ、お前は如何思うんや、本家の奥様も賛成と今聞いたが・・」
「其処、気にされてて、奥さんが四年前乳癌で亡くなりんさってから、やる気が失せていて
困って居られる中や、本家は大喜びやだからな、見合いの段取りは任せている・・」
「ほうじゃ、良い方には向きそうなんやな・・」
「其処聞いたら本家が、ドッキリ仕掛けようかと、笑われてるとこ見ると決まるかも知れん」
「いや、良いじゃ無いか本家の奥さん粋じゃわ・・」
そう佳恵さんは笑いながら言われ、横で美樹さんも笑顔だった。
 その夜は遅くに帰る慎吾、部屋で美沙子さんが起きてて迎えられる。
「ご苦労様・・」「ふ~気にはしてたが、大金が動くのに岩田側は平気な顔や驚いたわ・・」
「馴れておりんさるんやわ、私等と位いが段違いやね・・」
「だな、そんでな美沙子さん見合いして良ければ行きんさいや、行っても僕は生涯変わらん」
「・・、うん、其処な理解しているけどな、良いんか行っても・・」
「良いに決まってる、大阪に一人で出て来た後、此のままでいい筈が無いけえ、先の子供の
事もや、其れに僕の為にも生涯出入りできる関係は、あの賢三さん以外にはそうは出来んぞ」
「うふっ、そこかね、お前は助兵衛じゃね・・」「美沙子さんに進められた道や・・」
「そう返すかね、じゃ今夜は祝いの前や、この部屋では抱きおうた事が無い筈、今夜記念に
此処でお前を迎えたいけど・・、駄目・・」
「・・、有難い、生涯の記念やこの部屋での思い出の締めくくりやな、大賛成や・・」
「じゃ二人きりは久振りやわ、最高な気持ちで迎えるね、いい子やぞ慎吾は・・」
「美沙子さん・・」なんとなんと、部屋で遂に二人は思いの丈を相手の肉に入れ歓喜しつつ、
互いの目は真っ赤に染まり・・、泣いて腰が動いている。
 朝が来るまで二体が組み合い蠢いている部屋だった。
 その朝に、山本の家から電話が来て、真知子さんが慎吾に良いのかと聞かれる中・・、
既に美沙子さんは承諾されてる、そこに向かえば真知子さんに縋るしかないと慎吾は断言、
受けて真知子さんは、本家に関する事は私が居るから、心配は要らんと言われ、
お願いすると慎吾が話した。
 二日後見合いと決まり、横で裸で寝てる美沙子さんに聞くと、大きく頷いてくれた。
 昼前、上本町の会社に顔を出した慎吾、みんな喜び仕事に駆けまわる姿を、碧さんと
親父三人が、良かったと言い合う。
「で、聞いたが、明後日だと・・」「そう、朝な真知子さんから電話が着てそう聞いた」
「じゃ、あのなその日の朝な真知子の家に、いいやその前の夜から来い、真知子の家で
着物を着せたいと言わて居るんや・・」「え~着物・・、あ・あ若しかして見合いの・・」
「そうや、出などうやろう仕掛けんかお前・・」「ええ、仕掛ける・・、何にです・・」
「あのな、今回はお前にも苦労懸けてるがね、出なこれの中立人を岩田の奥様に頼んだら
どうや、ビルの事も有るしな、山本では其処とも付合いをな煩雑にと思い来ているんやぞ。
其処は慎吾が中に入り仕掛けてくれんかね・・」
「く~策士やわ・・、良い昨日漸くな夜中まで話をした後や、良いじゃ簡単な仲人として
もうか・・」「待て、其処な美津が自分で向かい頼むと聞かんのや、今回は熱が入って
てな、お前と深い関係の女性なら大事にしたい、子供の事も有ると言われたが・・」
「なんと、じゃ美津さんが出向かれるんか・・」
「そう、早いけどクリスマスプレゼント抱えてだと・・」「え、あ、あ加奈ちゃんにかね」
「そうメンコい女の子や、子供を魅せに行くと聞かんのや、如何伺い立ててくれんか・・」
「え~僕がか・・」「だから、会いに向かうが良いかとだけでいい、後は美津に任せれば
良いぞ・・」「了解や楽しくなりそうやわ、良い電話するね・・」
その前で、電話して、待っていると美樹さんが言われた。
 それを聞いて、賢二さんは山本に向かい動いて行けと言われる。
思わぬ事で事が大袈裟になり出すが、其処はちゃっかり山本も慎吾の仲間内に入ろうと、
決められた様子だった。
 その日の昼過ぎの岩田の家は大騒動,聡美ちゃんと美津さんが双子を連れて来られてる
から、加奈が叫び泣くほど興奮して、子供にまとわりついて居たのだ。
その姿見て、佳恵は感動しつつ、此の賑わいが家に又来ると良いなと、思い起こせるに十分
過ぎる喧騒中だった。
 「何と断りもせず赤子まで連れて来て、まことに済みませんです・・」
「何、其処大歓迎や、見て下されや孫の喜びよう、あの上本町であやした子や、こちらこそ
お礼を言いたいわな、美樹・・」「真有り難い事で感謝しきれん。有難うね聡美さん・・」
「初めて御目にかかります、小田聡美と申します。子はこの家の大事な男性に頼んで出来た
なんです。思えば真先に此処にと・・、其れが遅れて済みませんでした・・」
「なんと泣かせるが、、美人で落着きがあるお嬢さんやな、良いわねね珠に加奈をあんたら
の家に行きたいと、駄々こねるのが見えている、其処許して貰えるかね・・」
「ええ、迎えにも来れますし、意外と此処とは近いんですね」
そう返されて、美樹も感嘆・・、家の中は賑やかに為って居た。
 そんな中で、今回の願いを美津さんが話をされ出す・・。 
「ええ~じゃ何かね、中立をこの家にと言われるんかね・・」
「はい、美沙子さんとは馴染みが薄いと聞いてるんですが、其処は慎吾さんの田舎の女性で、
繋がりは早くから聞かされ、でも会うと驚きで戸惑うだけ、この女性が出家に来てくれたら、
反対に願う。賢三は兄と違い軽い人間、でもうち等だけが幸せであってもなんか欠けている、
其れが本家の宿命と、そんな時慎吾さんから付合いが生じ、仕事中で賢三に嫁にどうか
切り出された時、夫が偉い喜んで会社から電話が来た、美津は飛び上がって喜びました、
で何と夢じゃ無いかと思いつつ、二度目に聞いた時逃がしては後悔すると思い、慎吾さんに
頼み込んで今が有ります。ですからこの家の中立が欲しくて、以後子供との関係で繋がって
歩みたいとも、欲をかいて来ているんです、如何か願いを叶えさせてくださいませ・・、
お願い致します・・」美津さんと聡美ちゃんが頭を下げられる。
「・・、・・、まあま、ご丁寧にのう、其処迄言わんでもあいつに関する事は直承諾やわ、
実はな夕べ遅くまで此処までの事、今迄の流れを総て聞ける事が出来た、出な朝が来たら
これや、とんでもなく愉しい事は断る理由なぞ無い、是非その役目させて戴きます。
此れを機会に交互の行き交いは、勧めて貰いたいとこっちが頼みますね・・」
最高な関係に為りつつある家同士、間には慎吾の姿が見える中味だった。

                つづく・・・・。












この記事へのコメント